カテゴリ:不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2024/08/27 14:03
不動産広告にある「取引態様」って何?権限や報酬の違い、メリット・デメリットとは
不動産広告における「取引態様」とは、広告を出している不動産会社の立場を示すものです。
取引態様の種類は、売買の場合は「代理」「仲介(媒介)」「売主」、賃貸の場合は「貸主」「仲介(媒介)」があり、関与の仕方によって権限や報酬体系が異なります。
取引態様とは
取引態様は、不動産取引における宅地建物取引業者の立場を表す用語です。
具体的には、宅地建物取引業者が自ら売主または貸主として直接取引を行うのか、あるいは代理または仲介(媒介)を通じて取引を行うのかを、購入者や借主に明確に示します。
取引の形態により、宅地建物取引業者の権限と報酬が変わります。
取引態様が明示されていない場合、売却の仲介を依頼したはずが、業者が所有者の意向に反して価格を下げて売却することがあったり、売主から直接購入する意図があったにもかかわらず、気づかないうちに不動産会社が介入し、仲介手数料を請求される事態に陥る可能性があります。
価格を決定する権限者が誰か、「誰が」「誰に」「どのような目的で」「いくら支払うのか」を明確にするためにも、取引の形態を明示することが必要です。
代理とは
代理とは、売主に代わって販売活動や契約業務を行う宅地建物取引業者のことで、売主から代理権を与えられています。これは「販売代理」とも称されます。
賃貸では、貸主に代わり借主の募集から契約締結までを行います。
特に新築マンションの分譲販売現場(モデルルーム)では、売主であるデベロッパーの関連会社や、地元で販売力のある不動産会社が代理を務めることが多いです。
代理業者は広告や販売活動から契約に至るまでの一連の業務を行います。
宅地建物取引業者が代理権を持って結ぶ契約は、法的に売主との直接契約と同様に扱われます。そのため、買主や借主にとっては、売主や貸主と直接契約した場合と同じ効力を持ちます。
○仲介手数料について
通常、不動産取引には「仲介手数料」が必要と思われがちですが、この手数料は「仲介(媒介)」という取引形態でのみ要求され、「代理」という形態の取引では、買主が仲介手数料を支払う義務はありません。
たまに仲介手数料が必要とされることもあるので、諸費用の詳細を入念に確認することをお勧めします。
売主に業務を委託された不動産会社(宅地建物取引業者として代理を務める)には、手数料が発生します。
賃貸契約においては、家賃の1ヶ月分に相当する仲介手数料が貸主または借主のどちらかによって支払われますが、多くの場合、借主がその費用を負担することになります。
○メリットとデメリット
仲介手数料が不要であることは大きな利点に思えますが、取引が代理で行われる場合、販売価格にはその代理を務める宅地建物取引業者への報酬が含まれていることを忘れないでください。
通常、販売価格には仲介手数料に相当する以上の利益が加算されていることが多いため、必ずしもお得とは限りません。また、仲介手数料と異なり、報酬がどの程度なのかが不明確である点はデメリットと言えます。
仲介(媒介)とは
仲介(媒介)とは、売主と買主、または貸主と借主の間に立って契約成立に向けて尽力することで、不動産取引の中でも最も多くを占める取引態様です。
仲介と媒介は同じ意味ですが、一般的に取引態様を表すときは「仲介」、顧客と不動産会社の契約形式を分類する際に「媒介」という言葉が使われています。
一般的に個人の不動産取引は、専門知識を持つ宅地建物取引業者が仲介して契約が行われます。
なお、宅地建物取引業者自身は売買の当事者ではないため、売却・購入の決定権や価格の決定権はありません。
◯仲介手数料
売買契約が成立すると、売主は売主の仲介業者へ、買主は買主の仲介業者へそれぞれ仲介手数料を支払います。
売買の場合、売主の仲介または買主の仲介を行う「片手取引」と、売主と買主双方の仲介を行う「両手取引」があります。
仲介手数料の上限額は宅地建物取引業法で定められており、取引価格が400万円以上の場合は物件価格の3%+6万円+消費税となります。
なお、仲介手数料はあくまで成功報酬であるため、売却にあたっての査定や、媒介契約の締結では手数料は発生しません。
また、賃貸の場合は貸主・借主いずれかから家賃の1ヶ月分の仲介手数料を支払うことになりますが、借主の負担とするケースが多くなっています。
○メリットとデメリット
仲介の場合、物件の選択肢が多いため、特定の物件に偏らない提案が受けられるという点が、他の取引態様と異なる大きなメリットです。
値引き交渉や、引き渡し日の調整、消費者に有利な特約(ローン特約や買い替え特約)をつけるといったデリケートな交渉についても、経験豊富なプロが代行してくれます。
一方で、高額な仲介手数料が発生してしまう点はデメリットと言えるでしょう。
仲介手数料に見合う働きをしてくれるかどうかは、担当者との相性にもよるため、家探しの際は物件選びよりも担当者選びの方が重要であるとも言えます。
○媒介契約の種類
仲介(媒介)は契約の内容に応じて、3つの異なる形式に分けられます。
・一般媒介契約
複数の業者への依頼が可能であり、自分で見つけた売主や買主と直接契約を結ぶことができます。
・専任媒介
1社のみに依頼する場合でも、自分で見つけた売主や買主とは直接契約することが可能です。
売主から媒介を依頼された場合、物件をレインズに登録し、販売活動を報告する義務が生じます。契約期間は3ヶ月以内に設定されており、更新することもできます。
・専属専任媒介
1社のみに依頼する契約ですが、自ら見つけた売主・買主であっても直接契約はできません。
売主に売却の媒介を依頼された際には、物件をレインズに登録し、販売活動に関する報告を行う義務が生じます。契約期間は最長で3ヶ月とされており、更新することも可能です。
売主・貸主
取引態様が売主または貸主である場合、それは不動産会社が自己所有の物件を売主または貸主として直接取引する状況を指します。
大手総合不動産会社による新築マンションや賃貸マンションの分譲、中堅不動産会社が行うリノベーション済の中古物件、建売の新築一戸建て、開発分譲地などは一般的なケースです。
一般の個人が売主や貸主になる取引形態では、重要事項の説明義務が免除されるなど、取引におけるリスクが高まるため、推奨されません。
○メリット・デメリット
取引態様が売主や貸主である場合、仲介手数料がかからないため、諸経費を節約できる利点があります。
資金が限られている場合や、可能な限りコストを抑えたいときには、これがおすすめです。
デメリットには、不動産市場での物件数の減少や、交渉時に専門家と直接交渉しなければならないことが挙げられます。
仲介手数料がかからないからといって、必ずしもお得とは限りません。
販売価格には仲介手数料相当の利益が含まれている可能性がありますので、結局のところ、諸費用を含めた総コストが市場価格に見合っているかどうかを検討することが必要です。
通常、不動産会社は市場価格に基づいて物件の価格を設定し、個人よりも資金力があるため、売主や貸主として取引する際には値引き交渉が難しいと考えるべきでしょう。
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