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契約不適合責任とは
カテゴリ:不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2024/09/16 10:00

契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いや免責について


  • 契約不適合責任とは?

    契約不適合責任とは、売買契約などに基づいて引き渡された目的物が、種類、品質、または数量において契約の内容と異なる場合に、売主が買主に対して持つ責任のことです(民法第562条以下)。

    売買契約で取り決められた目的物が、通常の品質に劣るか、特別に保証された品質を満たさない場合、問題が生じることがあります。

    これは、売買代金を支払ったにも関わらず、契約内容に合致しない目的物を引き渡された買主を保護するための規定です。

    不動産の売買では、引き渡された建物に雨漏りや傾きがある場合や、土地に土壌汚染が発見された場合など、問題が生じる可能性があります。

    物理的な欠陥や不具合だけでなく、事件や事故があった物件の心理的な瑕疵、建築基準法違反などの法的瑕疵、または近隣の不快な施設による環境的瑕疵も、契約不適合責任を生じさせる可能性があります。

     

    改正前における瑕疵担保責任との違い

    契約不適合責任は、2020年4月の民法改正により、従来の瑕疵担保責任に替わって導入された制度です。

    瑕疵担保責任と契約不適合責任は、欠陥が発見された際に買主が売主に責任を問う点で共通していますが、多くの相違点が存在します。特に大きな違いとして、「隠れた瑕疵に限定されないこと」と「買主の救済手段(請求内容)が拡大したこと」が挙げられます。

    改正前の瑕疵担保責任では、目的物の欠陥が「隠れたもの」、すなわち買主がその欠陥を知らず、また知らないことについて非がない場合にのみ、請求する権利が認められていました。

    一方で、契約不適合責任は、目的物に欠陥があることを知っていたか否かにかかわらず、不注意により気付かなかった場合でも、売主に責任を問うことができる可能性があります。

    また、買主が売主に対して行使できる権利に関して、瑕疵担保責任では「損害賠償請求」と「契約解除」のみが可能でしたが、契約不適合責任では「履行の追完請求」と「代金の減額請求」も可能になりました。

    さらに、損害賠償請求の範囲が拡大したことにより、契約不適合責任は瑕疵担保責任に比べて、売主が負う欠陥に対する責任がより厳しくなっています。

     

    契約不適合責任によって買主が請求できる権利

    履行の追完請求権

    買主は、引き渡された目的物が不完全である場合、その補完をして完全な状態で引き渡すことを請求する権利があります。これは履行の追完請求権と呼ばれ、民法第562条に定められています。

    例えば、天井からの雨漏り箇所を修理すること、故障した水回り設備を交換または修理すること、土壌汚染が発見された土地を浄化することなど、これらの対応を売主に要求することができます。追完請求権は、修復可能な欠陥がある場合や、対策によって性能が回復する見込みがある場合に行使することができる権利です。

    追完請求権は、売主が不具合を知っていたかどうかには依存しません。もし引き渡された設備に不具合があり、売買契約の告知書にその不具合が記載されていない場合、売主が不具合の事実を知らなかったとしても、請求することができます。

    ただし、請求が認められるか否かは、取引の個別の状況や建物の築年数、状態などが考慮されて決定されます。

    代金の減額請求権

    代金減額請求権とは、売買契約の目的物に不備がある場合、その不完全な部分に応じて代金を減額することができる権利です。ただし、契約に違反する欠陥が存在する場合、すぐに代金減額を請求することはできません。一定期間内に目的物の修理を要求し、それにもかかわらず売主が応じない場合にのみ、この権利を行使できます(民法563条1項)。

    これは、売主が不具合箇所を修補することを望む場合にも配慮し、売買代金の減額よりも優先される規定です。

    ただし、いわゆる「事故物件」に関する心理的瑕疵のように、補修で修復不可能な部分がある場合や、売主が補修請求に応じない意思が明らかな場合は、追完請求をせずに代金減額を請求することができます(同条2項)。

    代金減額請求権は、履行追完請求権と同様に売主の帰責性を要求しないため、売主が欠陥を知らなかったとしても請求が可能です。

    契約解除権

    契約が不適合である場合、買主は契約を解除する権利を有します(民法第564条)。

    契約不適合責任に基づく解除は、民法における債務不履行責任と同様、一定の期間を設けて催告を行い、その期間内に履行がなされない場合には契約を解除することができます。ただし、契約内容に適合しない部分が軽微である場合、契約解除は認められないこともあります(民法541条)。

    また、不具合が修理不可能である場合や、売主が修理を拒否していることが明らかな場合には、一定期間の催告なしに契約を解除することができます(民法542条)。

    契約解除権は、改正前の瑕疵担保責任においても認められていましたが、契約の目的を達成できない場合に限定されていました。それに対し、契約不適合責任では、買主が契約を解除することがより容易になっています。

    契約が解除された場合、契約を締結する前の状態に戻す義務が発生し、売主は受け取った代金を返金しなければなりません。

    損害賠償請求権

    契約不適合責任においては、売主に対する損害賠償請求が可能です。

    しかし、この責任における損害賠償は、債務不履行責任と同じく、売主の帰責性が求められます。故意や過失のない欠陥に関しては、売主に損害賠償請求をすることはできません。

    損害賠償の請求範囲には、「信頼利益」だけでなく「履行利益」も含まれることがあります。「信頼利益」とは、契約が適切に履行された場合に買主が享受できる利益のことで、土地の調査費用や建築材料の購入費用などがこれにあたります。

    「履行利益」は、契約が履行された場合に得られるはずの利益を意味し、例えば購入した土地を転売することで得られる利益がこれに該当します。


    契約不適合責任における権利行使の制限期間

    目的物の種類・品質が契約不適合にあたる場合

    契約の目的物が種類や品質に合致しない場合、買主は不適合を知った日から1年以内にその事実を通知しなければなりません(民法第566条)。

    不具合箇所を通知してから1年以内であれば、追完請求や代金減額請求などの権利を行使することが可能です。ただし、これらの権利(債権)には消滅時効が適用されます。消滅時効は、権利行使が可能であることを知った日から5年間、または権利行使が可能になった日から10年間と定められています(民法166条)。

    また、売主が引き渡し時に不適合を知っていた、あるいは重大な過失により知らなかった場合には、期間制限がなくなり、いつでも権利を行使することができます(同条但書)。

    また、売買契約では、契約不適合の権利行使期間に関する特約を設けることが可能です。その場合、一般的な規定である民法よりも特約が優先され、特約の内容に従うことになります。

     

    目的物の数量・権利が契約不適合にあたる場合

    契約の目的物の種類や権利が不適合である場合、その不適合の内容は明確であり、売主にとって著しい不利益はないと考えられます。

    その結果、消滅時効が成立するまで、期間の制限なしに権利を行使することが可能です。


    買主が企業の場合

    通常、買主が企業である場合、契約不適合責任を負うことはありません。その結果、契約不適合責任に基づく権利を行使することはできなくなります。

    不動産の売却には、不動産会社を介して買い手を見つける方法と、不動産会社自体が買い手となって売買契約を結ぶ方法があります。

    不動産業者が直接買い取る場合、通常は契約不適合責任が免除されることが多いですが、売主が宅建業者でない場合には、宅建業者が買い手であっても法的な制限はありません。

    その結果、売買契約では契約不適合責任を定めることができます。ただし、権利行使の期間は契約によって定められます。

    売買契約書において、契約不適合責任の免責条項が含まれているかどうかを確認することが重要です。

    契約不適合責任で売主が注意すべきポイント

    一般の個人売主にとって、引渡し後も長期にわたり契約不適合責任を負うことは、不動産売却を困難にする可能性があります。そのため、民法の一般的な契約不適合責任の規定に加えて、取引に応じた特約を設けることが重要です。

    契約不適合責任の通知期間を具体的に設定する

    売買契約では、契約不適合責任の通知期間を明確に定めることが重要です。

    契約不適合責任は、契約した内容と異なる商品を受け取った買主を守るための制度です。不適合を発見してから1年以内に通知すれば、その後1年以上経過してからも請求が可能です。

    一方で、売主は商品引渡し後に一定期間が経過してから、追完請求や代金減額請求を受けるリスクがあります。そのため、売買契約を結ぶ際には、買主が不適合を通知する期間を引渡しから3ヶ月以内に限定するなど、具体的な期間を設定することが望ましいです。

    また、築年数がかなり経過した建物の場合、契約不適合責任を免除することも検討されることがあります。


    物理的瑕疵をしっかりと把握する

    売買契約を結ぶ際には、物件の物理的な瑕疵を正確に理解し、重要事項説明書や物件状況報告書、付帯設備表を通じて明確にすることが必要です。

    中古物件では、設備や建具、窓枠などに経年変化による問題が生じていることが普通です。そのため、買主は物件の現状を把握した上で、価格を考慮して購入を決定します。

    具体的な状況は以下の通りです。

    キッチンの流しの排水管が時折流れにくい
    寝室の収納扉が閉まりづらい
    浴室のサッシ枠の一部分に腐食が見られる
    物理的な欠陥を正確に理解し、文書で買主に伝えることが重要です。


    契約不適合責任についてしっかりと相談できる不動産会社を選ぶ

    改正前の瑕疵担保責任と比較して、契約不適合責任による売主の責任はより重くなる傾向があります。そのため、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。

    売却依頼時には、売主は不動産会社に物件や設備の不具合について知っている情報を伝える必要があります。これに基づき、契約不適合責任の範囲、販売活動の方法、および売買契約書の条項を検討する必要があります。

    売却活動を円滑に進め、引き渡し後の問題を防ぐためにも、契約不適合責任に関して適切なアドバイスを提供できる不動産会社を選ぶことが肝心です。

    適切な不動産会社を選ぶには、一社だけでなく、複数の会社や担当者を比較検討することが大切です。

    その際、不動産一括査定サイトを利用し、査定価格だけでなく、複数の不動産会社の提案内容を比較検討して選ぶことをお勧めします。

     

    瑕疵保険に加入する

    契約不適合責任のリスクに備える一つの方法として、瑕疵保険への加入が考えられます。中古住宅には既存住宅売買瑕疵保険があります。

    既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅の建物検査と保証を組み合わせた保険で、専門家による検査を受けた建物が引き渡し後に欠陥を発見した場合、保険金により修補が可能です。

    保険の適用範囲は、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防ぐ部分」を基本とし、給排水管路や電気設備などのオプション追加も可能です。保険の内容には、引き渡しから1~5年の保険期間と、500万円または1,000万円の保険金額(支払い限度額)が設定されていることが一般的です。

    瑕疵保険が利用可能な建物の条件や検査結果により保険加入が不可能な場合もありますが、契約不適合責任のリスクに備える選択肢として考慮する価値はあります。

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